僕は支援学校に勤務しているのだが、そこにいる子どもたちの嗜好は多種多様だ。
電車が好きな子
寺社仏閣が好きな子
ゲームが好きな子
アニメが好きな子
テレビが好きな子
YouTubeが好きな子
そして一口に電車が好きと言っても、乗り鉄、時刻鉄、駅名鉄、撮り鉄、インバーター音鉄、アナウンス鉄、座席の手触り鉄、と多種多様だ。
そしてアニメのジャンルも幅広い。
最近の空前の鬼滅ブーム。
アニメはあまり観ないのだけれども、原作を毎週ジャンプで読んでいたお陰で、このブームの波に乗り、「お、その炭治郎(禰󠄀豆子、善逸、胡蝶しのぶ)のマスクいいね!」や「全集中の呼吸!」「(傘を左腰に当てて)雷の呼吸 壱の型 霹靂一閃!!」「(歴史の授業で)アァアアア年号がァ!!年号が変わっている!!」などど幅広く活用できている。
子どもたちの好きなものを知っていることはとても重要なポイントなのだ。
もちろんアニメは鬼滅の刃だけでない。
進撃の巨人、機関車トーマス、妖怪ウォッチ、五等分の花嫁、おしり探偵、花かっぱ、ヒーリングっどプリキュア、名探偵コナン、ドラゴンボール超、僕のヒーローアカデミア、アンパンマン、呪術廻戦、HUNTER×HUNTER、ご注文はうさぎですか?、ジョジョの奇妙な冒険、などなど
ここに挙げたのは僕の関わったことのある子たちの好きなアニメだ。
Eテレからゴールデン、深夜アニメまでその多種多様さ、ホテルのバイキングか満漢全席のようなごちゃ盛り感には圧倒される。
もちろん全てを網羅することは、家族との時間のような何かを犠牲にしない限り無理そうだ。が、コロナ禍で立ち読みができなくなったとはいえ、ジャンプ、ヤングマガジン、サンデー、マガジン、ヤングジャンプ、チャンピオン、ジャンプSQ、月刊マガジンをかつて立ち読みし、2歳の息子と4歳の娘とEテレをはじめとするテレビを貪ってきた身である。ある程度は対応できるのだ。
そしてそんな日々の積み重ねの成果を実感できる時があった。
ある時、校内で娘の大好きなヒーリングっとプリキュアのオープニング曲が聴こえてきたのだ。思わず当たりを見回したのだが、部屋の中からで誰が聴いているのかは、わからなかった。
その後、同僚から「同じ学年のある子がプリキュアが好きで、YouTubeの曲をかけるのだけれど、その子は今のプリキュア(ヒーリングっとプリキュア)の曲が好きなのに同僚は別のプリキュア(スタートゥインクルプリキュア)の曲をかけてしまい叱られる」という話を聞く。
僕は思った「ヒーリングっとプリキュアとスタートゥインクルプリキュアを間違えるなんて…ありえない…」「その子にヒーリングっとプリキュアの歌を歌いに行こう」と。
そう、娘とのプリキュア三昧の日々によって、僕はヒーリングっとプリキュアの曲を全て歌えるまでになっていたのだ。
そして、そのときがきた。
僕は「透き通った光は はじまりを照らして…」と前期エンディング曲『ミラクルっとLink Ring…を』を歌い始めた。
するとその子はこちらへでを伸ばし、僕の手と触れ合った(お互いに後で消毒しています)。
そう、心と心が触れ合った瞬間だ。
想いは通じた。
こんなに嬉しいことはない。
こんな瞬間があるから、僕は35歳になった今も日々マンガを読む、毎週ジャンプを買って、アプリで『範馬刃牙』や『嘘喰い』を読み返すのだろう。そしてアニメに心を奪われるのだろう。
この瞬間が僕のマンガやアニメへの情熱を蘇らせる…そう、何度でも