先日買い物学習で近くのスーパーに行った時に思ったこと
全盲の子どもとペアで手引きで移動。
大きな幹線道路沿いを移動しながら、道沿いにあるお店や駅、信号機、通り過ぎていく車についても話す。
地下鉄の入り口やエレベーターには案内音声がある。
信号機によってはピヨピヨやカッコウの音声案内がある。
信号機の音がなくても、並行して走る車の音で信号が赤か青かはわかる。
コンビニによって入店した時の音が違うし、車の車種によってもちろんエンジン音は異なる。
盲学校に来てすぐの頃は分かっていなかったけれど、この世界には音が溢れている。
見えない子たちはその音に人一倍敏感で、そして興味津々だ。
電車のアナウンスを真似る子がいる。
電車がブレーキを踏んだときのインバーターの音が好きな子がいる。
デザインあのオープニングの歌を完コピする子がいる。
エンジン音で車の車種を当てる子がいる。
意識しなければそんな子もいるんだと思って終わりだけど、彼らの世界に寄り添ってくるとたくさんの発見がある。
その日も、信号待ちをしているときに、ある子がエンジン音を聞いて、「あ、プリウスや」と発した。
そばにいた盲学校に来たばかりの教員は、「なんでそんなのがわかるの?」と驚いていた。
でも僕にもわかる。
ハイブリッドカーの音は全然違うし、なんとなくプリウスっぽい音の感じがあるしと思ってしまった。
盲学校に来て10年。
視覚障がいスポーツなんかをしていたこともあるのだろうか、見えない彼らの音の世界にちょっとわかるようになった。
以前のブログ、「いかに好奇心を育てるか」 ではなく 「いかに好奇心にフタをしないか」 - メガネくんのブログでも書いたのだが、好奇心な好きなもののパワーはものすごいものがある。
そこに自分が寄り添っていくと、子どもから引き出せるパワーはさらに増えていく。
コナンが好きな子がいるなら、自分もコナンを観てそのキャラクターやエピソードを引用すれば面白いじゃないか。
ポケモンが好きなら、ポケモンで例えるとわかりやすいかもしれない。
電車が好きな子は、地理と駅を組み合わせればいい。
プロレスだって、ドラゴンボールだって、ドラえもんだって、教えている内容につながるエピソードのカケラはどこにだってあるはずだ。
そうやって子どもの世界のことを知るのはおすすめだし、子どもの時距離は近くなるし、何より新しい世界が見えてくるのは楽しいものだ。
そういえば、ベテランの先輩教員から聞いた話を思い出した。
働き始めた頃に、土曜日の夜に何をしていたかを聞かれ正直に答えると、「土曜日にセーラームーンを観ていないなんて、養護学校教員としての意識が低すぎる!!」と先輩から激怒されたというエピソードだ。
先輩は土曜の夜はセーラームーンの生活になったそうだ。
僕は妹がいて、セーラームーン観ていたけれど、二十歳以上上の先輩も観ていたんだなぁと思うと感慨深いものがあるなぁ。
まぁ強要するものではないのだろうけれど。