仕事の話。
教員という世界について先輩からこんなことを言われたことがある。
「一般校は仕事量が1.5の人と0.5の人で成り立っている。そして支援学校は2.0の人と0の人で成り立っている」
支援学校で働いている僕は、この言葉を額面通り受け取る訳ではないのだけれど。
でも、そういう側面があることを実感する機会は少なからずある。
今年は昨年度から引き続きの大きな仕事を担当した。
子どもたちへの対応はもちろん、保護者への説明も業者との接渉もある仕事だ。
前任校では経験があるが、今の学校では初めてだ。おまけにコロナで例年とは違うので、過去の資料はそのままは使えない…。
そんな中、ベテランと呼ばれる年代の方と仕事を組むことになった。
これが悪夢のスタートだった。
手探りの中で過去のデータを参考に資料をつくる。
子どもたちへの事前学習用の教材も準備する。
各種届出用の文書を作成し、起案する。
その間、ベテランにこまめに報告するがどうも要領を得ない。「これってどういうこと?」「どうしたらいいの?」と何度も尋ねられる。業者とのやり取りのメールも転送しているので、そのメールに記載してある旨を伝えるも「メールは見てるんだけれどね」と返される。
夏休み前にはそのベテランは「別件の仕事が忙しいから」となかなか話をする機会を得ることができない。
とはいえ僕はクラスの生徒対応があり、当日はベテランに前に出て進行してもらわないといけない。
そして家庭の事情で学年主任(巻き添え事故)と僕の2人で行く下見。
細かく作った写真付き下見の報告も読んでくれない。
お盆明けに届くガイドラインの変更。
それに伴う見積もりの変更。
なかなか来ない業者からの返信。
保護者説明会でいるだけのベテラン。
もちろん資料は一人でつくったし、前で話すのは自分だけだ。
何度も同じ説明をするけれども要領を得ないベテラン。
まだまだエンジンがかかっていないようだ。
そんな間に一人で進める事前学習の教材準備。
事前学習の進行はすべて進めた。
「私がやるわ」と言いながらベテランか担ったものの一向に進まないしおり。
もちろん未完のまま放置されたしおりの作成はこちらの仕事だ。
部屋割り、バスや食事会場の座席配置、食事のアレルギー確認、ほとんどの仕事がこちらに降りかかってくる。
そして行事本番が近づき、急にエンジンがかかったものの全体の流れが分からず不安になったベテランから「私がみんなの前で進行できると思いますか?」と聞かれる。
「・・・?」
何ヲ言ワレテイルノカワカラナイ。
質問の意図がよくからず、思わず笑ってしまう。
(だってベテランさんがどれだけわかってるのかとか、進行できる自信があるのかなんてベテランさんにしかわからないですよね笑。不安なら大丈夫なように事前に確認すればいいだけだしね。)
それが気に触られたようで、ベテランの炎上に巻き込まれる学年主任…ごめんよ…。
直前に起きるトラブルに伴う保護者対応ももちろんベテランは対応しない。
というかベテランに聞いてもわからないだろうとみんながわかっているので誰も聞かないのだ。その分の皺寄せはこちらにくる。
当日もトラブル続きで、皆の前で話すベテランの横に行き「⚫︎⚫︎の話忘れてますよ」と耳打ちすると「今言おうと思っていたのよ!」と怒られたり、LINEの情報共有を読んでいなかったり、返信がなかったりといろいろあった。
大変だった…。
まぁ喉元過ぎれば…というやつで、終われば笑い話に変わる。
別の件でベテランと揉めたときに「(この仕事のときに)私はもっとメガネさんと話したかった」とか言われたけど。
こちらは話したくないし、話しても伝わらないのが不毛だし、話してもベテランが自分ごと受け止めず責任感がないのだから仕方がない。
その行事の年度末反省はもちろん僕がつくったが、そんなのは大した労力ではない。
自分でやった方が早い病は自分でも自覚しているが、明らかに仕事を任せると「どうしたらいいの?」の連続で自分の時間が奪われるし、完成までの時間が長いし、出てくるクオリティも高くないのだ。まぁ大抵は未完のまま終わるのだけれども。
そして仕事量に給料は反映されない。
ベテランの方が給料高いねん。
なんでやねん…その言葉を飲み込みつつ、まぁそんなん考えてたらほとんどの仕事なんて割に合わへんしなと自分を慰めつつ、今日もぼちぼち仕事を進めていくのだ。
2.0の教員全てに幸あれ。