今週のお題「もしもの備え」について
教員という仕事柄、年に数回避難訓練を行う。
だらけた避難訓練は嫌いだ。
やらない方がマシだと思う。
表面的な知識では意味がない。
大半の人は、いざというときに思考が硬直化するし、ほとんど動けなくなる。
自分の実体験からそう思うのだ。
備えておかないと動けない 事故対応の経験から - メガネくんのブログ
やるなら具体的でリアルな想定が必要だ。
地震だと言われ、机の下に頭を隠しただけでは駄目だ。強い揺れで机は容易く傾き、流れる。
机の脚をかなりの力で抑えないといけない。
机がなければ、教科書なんかでも構わない。まずは頭を守らないといけない。
教室から運動場などへ避難する場合は、廊下や階段にガラスが飛び散っているはずだ。
火災時にハンカチがないからと言ってこちらが貸している暇はない。袖で口元を抑えさせる。
運動場で子どもたちは整列しているけれど、ダラダラと話しながら散らばっている教員もいる。数の確認がしやすいように、クラス単位などで一列に並ぶようにする。
避難場所は公園や学校など大抵広い場所だ。校庭の遊具あたり、公園の◯◯のところなど、具体的な待ち合わせ場所を決めておかないといけない。
災害時伝言ダイヤルや災害時伝言板は、誰の番号に伝言するのか確認しておかないといらない手間が生じてしまう。
避難訓練が終わった後で、一仕事終えた同僚の前で空気を読まずにそんな話をする。
視覚障がいのある人、発達障害のある人は避難所生活などで他の人よりも困ったり、肩身の狭い思いをする場面もあるという。
事前に知っているのと、いざというときに突きつけられるのとでは違うこともあるだろう。
形だけの「もしもの備え」でなく、具体的な状況をリアルに想定することで、必要なことが見えてくる。
ある盲学校の先生は、子どもたちに地震の威力を実感させるために、高速道路を支える太い柱を触らせに行き、阪神淡路大震災ではこの太さの柱が折れたのだということを伝えているそうだ。
それは災害のときだけでない。以前のブログで書いた、倒れた人への対応、事故に遭遇したときもそうだろう。
僕はそんなに臨機応変に動けるタイプではない。
見て見ぬ振りを選んでしまう心の弱さもある。
でも、自分でどうすれば動けたのかを考え、想定することで動けるようになった経験がある。
だから伝えたいと思うのだ。
モノの準備だけでなく、ココロの準備もお忘れないように。