同僚との話から。
僕の生まれ育った町は、残念ながらあまり給食が美味しくなかったそうな。
自校炊飯ではなく、給食センターから配送されるあの和紙みたいなやつに包まれ、蒸れに蒸れた白米。そして悪魔のメニュー、エビチリ。
そもそも小学校の給食は、嫌いなエビが出た日をいかにして乗り切るかみたいなところがあったので、味はそこまで覚えていない。
大学になると違う町や県外出身者の話を聞き、かの有名な揚げパンや豪華なデザート、特産物を使った美味しい給食があることを知った。
小学校のシチュエーション風居酒屋で見た懐かしのメニューを見ても冷凍みかんとカレー以外は見たことがなかった。
正直、美味しかった給食で盛り上がるみんなが羨ましかった。
大学卒業後、働き出したのが支援学校というのもあって、10年ぶりに給食と再開した。
初日のメニューはエビフライカレーだった。
頑張って残さずに食べた。
自分が生まれ育った町の学校だったので、メニューにそこまで大きな違いはなかったけれども、味はよくなっているように思った。
しかし、ほかの町の出身者は「自分の町の給食の方が美味しかった」と繰り返す。
味の件もそうだが、僕が働き始めた当時の学校では、地区によってメニューが決まっており、また小学校までしか給食がなかったこともあって、支援学校の中学部・高等部ではカロリーを白米で補うという方針がとられていた。
特に2校目の盲学校は高等部だったこともあり、おかずは白米に比べて少なく、残念なときには金時豆の煮物が豆3粒だけといった感じだ。そして若いからと盛られる圧倒的白米。
ちなみに盲学校にあった寄宿舎のメニューは予算の関係もありボリューミーで美味しかった。
それが数年前、支援学校の管轄変更に伴い、我が盲学校も自校炊飯となった。
メニューも刷新され、おかずの量も増えた。
味も美味しくなった。そう思っていた。
だが、他支援学校との交流で相手校の給食を食べて思った。「あれ?これめちゃめちゃ美味しくないか?」と。
そう、他の支援学校の方が美味かったのだ。
交流に行った子どもたちも「来年もここで給食を食べたい」と言い出す始末(栄養士さん、調理員さん、すいません…)。
時は流れ、転勤した現在。
エビが出てくる以外は給食に対する不満はない。今の給食はかつての交流先の支援学校に勝るとも劣らない。そう思っていた。
しかし、帰り道で同僚から「ソフト麺」が食べたいという話になり、他県のメニューの豊富さや美味しさ、「正直地元の給食の方が美味しかった」という発言に戦慄を禁じ得ない。
なぜそんなに格差があるのか。
そして噂でしか聞かない揚げパンや岡山では4種類もあるというソフト麺を食べてみたい、いや食べたらまた嫉妬してしまうのではないかという葛藤に今苛まれている。
ただ言えるのは給食は、値段も栄養価も大変ありがたく毎日お世話になっていて感謝しかない。栄養士さんと調理員さん、ありがとうございます。
でもちょっとソフト麺食べてみたいです笑