もったいないお化けの話。
チャハーンの中に入ったネギが嫌だと駄々をこねて全てをほじくりだしてたべる息子を見ていると、自分の小さかった頃を思い出す。
僕はエビが嫌いで、学校の給食に出てくるヤツを最低限咀嚼して牛乳で流し込む以外は全く口にしない。
カップヌードルのエビもお湯を入れる前に全て抜いている。
そんなエビをなんとか食べさせようとチャーハンやコロッケにねじ込んでくる母親と違和感を感じとり、全てを拒否する僕の攻防はあったが、(食べるの吐いてしまう)エビ以外の好き嫌いについては許してもらえなかった。
食べきれなかったものや、味が嫌で残したものがあると烈火の如く怒られ、キッチンのゴミ箱に自分で捨てにいかされた。
「食べ物を粗末にすると、もったいないお化けが出てくるよ!!!」とさんざんに脅された。
ゴミ箱に捨てるときには「もったいないお化けごめんなさい…もったいお化けさんごめんなさい…」と何度も謝まり、見えないもったいないお化けに怯えていた。
そんな父母だが、孫が産まれて祖父母となるとその立場を激変させる。
僕の娘や息子が好き嫌いを言っても
「大丈夫よぉ〜食べられるやつだけ食べたらいいんだからぁ〜」と笑顔で好き嫌いを肯定する。
もったいないお化けの話は1ミリも出てこない。
子どもたちが寝てからその話をすると、
「親の立場と祖父母の立場は違うのよ〜」
「こっちは責任ないからね〜(オイッ)」
「昔はじいちゃんばぁあちゃんが甘やかすのを『やめて〜』って思ってたけど、今はその気持ちがわかる」
などとおっしゃられていた笑。
父母の立場と祖父母の立場は違うようだ。
納得のいかないもやもやを抱えつつ、我が子たちには「昔はばぁばに、ご飯を残すときにはもったいないお化けさんにごめんなさいを言わさせられててんでー」とマイルドに伝えるようにしている。
でも娘も息子もあまり信用していない。
もったいないお化けはもはや消えつつあるようだ。