子どもの話。
うちの息子は恐竜好きだ。
保育園にあった黒川みつひろさんの絵本『恐竜トリケラトプス』シリーズからハマり出し、ひらがなも黒川さんの恐竜あいうえおポスターで覚えた(なんなら恐竜図鑑を読むために覚えたのでひらがなよりカタカナの方が得意だ)。
ゲットしたお小遣いは恐竜のアニアに惜しげもなく注ぎ込むし、保育園の恐竜ともだちとは一緒に図鑑を製作中だ。
福井県立恐竜博物館には2回行った。
大人が飽きるほど恐竜図鑑のDVDを見返し、なぜか3冊もある恐竜図鑑を繰り返し読んでいる。
僕はかろうじてわかるが、妻はもう恐竜の話題についていくのを諦めた。
ある日食卓に砂ずりが出た。
豆知識を披露しようと子どもたちに砂ずりの話をする。
「ニワトリには歯がないよね」
「だから砂を飲み込んで・・・」
「知ってる!ブラキオサウルスも石飲み込んでてんで!」
逆に恐竜知識を披露される。
てか砂ずりじゃなくてそれはもはや石ずりだよね…。
「プールってどのくらい大きいの?」と単位や数値に興味津々の姉が聞いてくる。
「スイミングのプールは25メートルで・・・」
「あ、スピノサウルスが15メートルやからそれよりも大きいねんな。」
大きさの基準が恐竜になっている。
放っておいたらブラキオザウルスは何メートルでと話が止まらない。
スーパーで売っていたセーシェル産のマグロの話題から姉が質問する。
「セーシェルってどこにあるん??」
「(壁に貼ってある世界地図から)探してみて。アフリカの近くやねんけど。」
「アフリカ?!アフリカって昔はゴンドワナ大陸やってんで!!」と映画恐竜超伝説2の解説が始まる(お気に入りはインペロバトル)。
姉が読んでいた本から、学校が始まったのは平安時代の空海からだと話していると。
「でも白亜紀の方がもっと昔やで!1億2000万年前やで!」と謎のマウントをとってくる笑。
そら人間の歴史では恐竜にはかないません笑。
行きたい場所と言えば恐竜図鑑の巻末にある博物館のページをめくり、群馬県!やら神奈川県!やらが飛び出てくる。
もちろん日本地図での位置は覚えている。
2回行った恐竜博物館のある福井県の場所はもう覚えてしまい、どこかに行くときは「福井よりも遠い?」と確認するのが口癖になっている。
人は新しい知識を学ぶときに、いろんなとっかかりやひっかかりを使う。
それらがないツルツルの状態だとなかなか記憶に定着しない。
息子の場合は、なんでも恐竜と関連づけて覚えていく。
植物園に行ったときもシダ植物に反応し、「トリケラトプスがこれを食べていたのかも・・・」と想像を膨らませていた。
全てが恐竜に繋がっていく。
まさに恐竜学。
そしてその恐竜学が息子の知識の源泉になり、さらに知識のネットワークが広がっていくのだ。
何度か紹介したことがある研修会で聞いたエピソードが浮かんでくる。
漢字嫌いだった子が、自分の大好きな魚から魚編の漢字を覚えていくうちに関連するいろんな漢字を覚えていき、いつのまにか漢字が大好きになり漢検一級に合格してしまったという話。
息子を見ていると眉唾ではないだろうなぁと思う。
恐竜学といいつつ、恐竜に限らず子どもたちの好きなもののパワーはやっぱりすごいと再確認する。
恐竜でなくたっていい。
電車学でもプリキュア学でも動物学でも。
好きなものへのパワーは放っておいてもどんどん広がっていくのだ。
…まぁ無の側面もあるよなと、明け方に起きてき1人リビングで暗闇の中、恐竜のYouTubeを見て妻に叱られている息子を見て思わないこともないけれど…僕も夜中にゲームをしていて父親に激昂されたけれど…
ちなみに娘は僕の血を引いているようで日々読書学・マンガ学に勤しんでいる。
たまたま通りがかったところで「あれが従兄姉の行っている塾だよ」と話すと、「知ってる(セーラームーンの)あみちゃんが行ってるとこやろ?モシとかもあるんやろ?」と返答する。
本に出てきた「安藤百福」の漢字を見ていて「この『安』って安倍晴明と同じ漢字?」と尋ねてきたり。
弟からブラキオサウルスの寿命が13歳と聞くと「やっばっ!(伝記で読んだ)アンネ・フランクより短いやん?」と返したり。
今日もさっさと漫画や本から知識を仕入れ、ネットワークを広げている。
…偏った知識にならないからちょっと不安ではあるが。