昔々の話なのになぜか記憶に残っているシーンがいくつかある。
夕食に出たカマスという魚に「なんでカマスって言うのる」と母親に聞いたら、母親は僕の指をその魚の口元に持っていき、ガブっとして「こうやって噛むからカマスやで!」と言ったら勢い良すぎて鋭い歯が指に食い込んで血が出たエピソードとか…。
このトムソーヤの話もそうである。
他のエピソードはあまり記憶に残っていないのに、このペンキ塗りのエピソードはなぜか覚えている。
内容はこうだ。
ペンキ塗りの仕事を頼まれた?トムソーヤは、最初は嫌々ペンキを塗っていたが、いいアイデアをひらめく。
それは口笛を吹きながらいかにも楽しそうにペンキを塗るというもの。
そうやって楽しそうにペンキを塗っていると友だちがやってきて「何をしているんだ?」と尋ねる。
トムは「ペンキ塗りさ、これが楽しくて仕方ないんだよ」と返す。
友だちは「俺にもやらせてくれよ!」と頼むも、トムは「こんなに楽しいことをやらせるなんて…」と返す。
焦れる友だちは「じゃあ小遣い?をあげるから」となんと対価を支払ってペンキ塗りをさせてもらい「おぉこれは楽しいな」なんて言ってる横でトムがずる賢そうに笑うシーンだ。
最近読んだ本にあった、精神分析家ジャック・ラカンの「欲望は他者の欲望である」という言葉を思い出す。
はたまた、5歳の姉と同じことをしたがる2歳の息子も連想する。
「面白き こともなき世を 面白く」ではないが、このトムソーヤの発想を活用してみよう。ということで、我が子の子育てに活用してみた。
何気ないことでいい。
トマトの水やりでも、
食器洗いでも、
お絵かきでも、
お風呂掃除でも、
まずこちらが楽しそうにやってみる。
思いっきり、
全力で、
大人気なく、
子どものように、
笑いながら、
するとどうだ。
やりたがりのお姉ちゃんが始まると、
真似っこの弟が真似始めて、
二人で取り合うようにお手伝いを始めた。
しめしめ笑
僕はトムソーヤのようにニヤリと笑いながら、子どもと一緒にノルマをこなす。