家族の話。
もうすぐ1歳半になる末っ子の娘はよく笑う。
散歩をしていると近所の人に笑いかけ、
「かわいいね〜」と言われるとニコッと笑う。
バイバーイと言いながら手を振り、愛想を振り撒いてくれる。
おやつのとき、
ごはんのとき、
大好きな果物を目にしたとき、
朝保育園で先生に会ったとき、
夕方保育園に迎えに行くとき、
外にお散歩するとき、
自転車に乗るとき、
お風呂に入るとき、
絵本を読むとき、
猫(にゃあにゃあ)を発見したとき、
「◯○するひとー?」
と聞かれると「はーい」とニコニコ笑顔で手を挙げてくれる。
そんな娘にはニコニコ以外にもう一つの笑いがある。
笑いのツボに入ると某漫画の会長のように「カカカッカカカッ」と悪魔的な笑い方をするのだ。
最初のうちは「カカカッ」と笑わせるのは簡単だった。
一緒に入るお風呂でガーゼタオルを自分の顔にかけていないいないばぁばをしたり、
こたらのほっぺたを叩いてポコポコ音を鳴らしたり、
犬のパペット付き絵本でこちょこちょしたり、そんなことをするだけで、容易く「カカカッ」と笑う娘。
それが面白くて繰り返していると、数日で大笑いではなくニコニコ止まりになってしまう。
そう、サイクルが早いのだ。
その後も娘の狂気的な笑いを引き出すために手を変え品を変える日々は続いた。
しょうもないことを思いついたらすぐに試してしまう。
昨日は耳元で「ガプッ」と噛みつく真似をすると大笑いしたが、今日はもうそれでは笑わない。
すでに賞味期限切れだ。
5歳の息子は妹を笑わせるために風呂上がりに裸踊りまで披露する。
みんな末っ子の娘の大笑いが好きなのだ。
でもその大笑いは続かない。
一度聴いた「カカカッカカカッ」という娘の笑いが忘れられずに、誰もが笑わせようと挑戦し、束の間の笑いに溺れ、笑わせられない日々が続いてしまう。
そう、まるで笑いの沼にハマったように…娘の大笑いの罠からは抜け出せない。
そして今日も娘を笑わすための試行錯誤の日々が続くのだ。