宮口幸治さんの『ケーキの切れない非行少年たち』を読んで思ったこと。その2。
その1はこちら『ケーキの切れない非行少年たち』人間はなかなか相手の立場に立って考えられない - メガネくんのブログ。
前々から思っていた「自尊感情を高めるってどういうことなのか、本当に必要なのか」というモヤモヤがすっきりしました。
職場でも、なんでもないようなことを「すごーい!!」と褒める風潮に違和感を感じることが多々あり…。
本にはこんな風に書かれていました。
褒めて伸ばす教育は、必要以上に自尊感情を高めてしまいかねない。
本には注意や指導を受けると、「僕は褒められて伸びるタイプなのに」と泣きながら言い訳する少年の例が挙げられていました。
そもそも世の中の人がみんな自尊感情が高いのかというとそうではない。
世の中一番になれることなんて滅多にない。
自尊感情が低いから犯罪を犯すわけではない。
必要なのはできないことができるようになる具体的な方法だ。
もちろん、必要以上にできないことを強調する意味もないとは思う。
本人がある程度自分ができないことがわかればいいが、「自分には何もできない」と自分の全てを否定することに繋がってしまう。
それはそれで等身大の自分を理解できなくなってしまう。
目指すべきは、自己効力感とも言われる、「自分のできることとできないことを把握しておく力」を持つことではないだろうか。
「自分に何ができて、何ができないのかを知ること」
「できないことも含めた自分を受け入れること」
アイデンティティの確立とも似てる気がする。
ただ、そんな自己効力感も成功体験を重ねることが必要になるし、そのためには、本人の今の段階にあった課題に取り組まないといけない。
そのためは、子どものアセスメント、実態把握と、その子の段階にあった、認知機能などの力を高めるトレーニングが必要になる。
それが前回書いた「『ケーキの切れない非行少年たち』人間はなかなか相手の立場に立って考えられない」に繋がるんだと思う。
あと面白いと思ったのは、子どもたちにどんなときにスイッチが入ったのかという内容。
・家族のありがた味、苦しみを知ったとき
・被害者の視点に立てたとき
・将来の目標が決まったとき
・信頼できる人に出会えたとき
・人と話す自信がついたとき
・勉強がわかったとき
・大切な役割を任されたとき
・物事に集中できるようになったとき
・最後まで諦めずにやろうと思ったとき
・集団生活の中で自分かの姿に気が付いたとき
が紹介されていた。
共通するのは「自分への気付き(自分を見つめ直し、適切な自己評価ができるようになること)」と体験や教育を通して「自己評価が向上すること」とも書かれていた。
子どもに「なんでできないんだ!」「もっと頑張れ!」と言う前に、上記の内容を読んで、どうしたら子どものスイッチを切り替えられるかと自分のやり方を振り返らないといけない。
あと子どもが持っている「人に教えてみたい」「人から頼りにされたい」「人から認められたい」という強い気持ちや、子どもとの信頼関係も大事だ。
子どもが自分のことを認知できるよう、子どものやる気スイッチを入れれるよう、子どもと信頼関係を気づけるよう、日々の自分を振り返ろう。そう考えさせられた。