宮口幸治さんの『ケーキの切れない非行少年たち』を読んで思ったこと。
子どもが壁にぶつかる、勉強がわからない、他人のことが考えられないの背景にあるのは認知機能の問題ではないかというお話は、以前宮口先生のコ研修会に参加して学ばせていただいた。
ちなみにそこで学んだコグトレの本はこちら
CD付 コグトレ みる・きく・想像するための認知機能強化トレーニング
- 作者: 宮口幸治
- 出版社/メーカー: 三輪書店
- 発売日: 2015/03/07
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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コグトレのコグトレ棒を使った作業トレーニングは、視覚障がい児のボディイメージの把握にも活用できると思い、現在実践中です。
今回改めて書籍で読むことで、子どもの実態と保護者や教員などの周りの思う子ども像のギャップは大きいんだなぁと再確認した。
この本は同僚の方にお借りしたのだが、その方も、ケーキを三等分できない子どもの話を読んで、「そんな子がいるなんて…」と話されていた。
今の支援学校という現場でも、
「なんでできへんねん」
「嘘やろ…」
「ちゃんとしなさい」
などという言葉がけを残念ながら聞いてしまう。
それが今のあの子の段階なんですよと伝えているけど…子どもの実態を掴み想像するのはなかなか難しい。
前回「地図をもって支援しよう」 - メガネくんのブログという内容を書いたが、子どもの実態(今いる位置)を把握しないと適切な支援はできない。
「子どもが発達の道すじのどの段階にいるのか」
「次のステップは何でそのためには何が必要なのか」
そんなことを考えないと、本の中にあるように形の認識ができていない子に、ひたすら漢字を繰り返して書かせるなどの繰り返しになり、興味関心や意欲が低下し、生産性も低い授業が繰り返されて、学ぶことへの意欲が低下してしまう。
コグトレによる認知機能の強化が学習に効果があるというのもその一環なんだろう。
土台ができていないのに、どんどん学習を積んでいっても砂上の楼閣になってしまい、学んだ内容は定着しない。
実態把握やアセスメントという言葉は当たり前に聞かれるけれど、それを理解した支援が行われているのだろうか。
人間は、意識しないと、自分の思うようにしか理解しないし、相手のことを想像するときは自分を基準にしてしまう。
教員になる人のほとんどは、問題なくケーキを三等分できるだろうし、ケーキが三等分できない子どもの認知を想像し難いだろう。
だから、ケーキが三等分できない子どもの認知を理解できずに(実際注意深く意識しなければ会話では違和感に気づかないケースが多い)、子どもたちのできない、わからない原因を、やる気や努力、こなした量の不足と考えてしまうのだろう。
「多様性」を受け入れるためには、そんな微妙なグラデーションにいる子どもたちの苦しさも知っておかないといけないなぁと再確認させられた。