メガネくんのブログ

何となく日々思ったことを書いていくブログです。教育や本の感想なんかも書いてます。表紙の画像は大体ネタです。

社会科についての話その1 「なんで」と「どうやって」で言語力を伸ばす

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社会科という教科についての話。

 

僕自身は小さい頃から社会科の内容が好きで、漫画日本の歴史全巻や歴史小説、伝記、教科書や資料集なんかをよく読んでいた。誰に言われるでもなく。小学校、中学校は1番の得意科目だったし、高校時代に通学や塾への電車内で日本史Bの書き込み教科書(塾で習った内容や模試、問題集の内容を書き込んだやつ)を熟読していたのは、側からみたら変なやつだったと思う。

書きこみ教科書 詳説日本史 改訂版: 日B309

書きこみ教科書 詳説日本史 改訂版: 日B309

 

 

お陰で模試やセンター試験では、問題を見ると「あぁこの問題は書き込み教科書のあのページにメモったとこ」と思い出し、大学受験では役立ってくれた。大学時代に塾講師のバイトで日本史の講義を担当するときにも役立った。

そして教員という道に進み日々社会科を教えている僕は、社会科で学んだ知識が人生で役に立った非常に珍しいケースだと思う。テレビのクイズ番組の問題も大体答えられるし。

 

盲学校に転勤してからは、世界史Bや日本史B、あるいは中学校の社会科を教えてきた。日本史はともかく世界史は高校以来だし、全部を学んだ訳ではないし、週に4時間も進むし、クラスは一つしかないから使いまわしはできないし、と混乱しながら、プリント作りとその拡大版編集や点訳に追われる日々が続いた。大変だったけど、いろんな知識が身に付いた。知識がリンクして繋がっていく楽しみもあった。

その中で、「単に知識を覚えることにどれだけ意味があるんだろうか」と考えるようになった。

 

塾講師としてバイトしていた時期は、生徒がテストで点数を取るのが目的だった。そのために、出題されるポイントを押さえる、噛み砕いて誰にでもわかりやすく解説する、不意に質問して定着を確認する、問題演習を繰り返す、時折楽しいうんちくを披露する、問題演習を繰り返すという一斉形式の授業をこなしてきた。

教育実習の授業でも、塾講師の経験も活かしてプリント作りや授業展開もスムーズにできた。ただ研究授業のときの「君の授業は塾の授業だね」と言われたことがなんとなく心には残っていた。その当時は、言われた相手が、高校時代におもんない授業で有名な先生だったので「自分の授業の方がわかりやすいのに…なんでそんなことを言われなあかんねん!!」と憤っていたのだけど。

 

盲学校に来て、大学進学を選ばない生徒に対して日々塾時代のやり方で授業を進めていくうちに、先ほどあげた「単に知識を覚えることにどれだけ意味があるんだろうか」と思うようになり、「社会科で何が大事なのか」を考えるようになった。ちょうどいろいろな研修会に参加しだした時期だ。

 

その中で見つけたのは「知識よりも言語力」という答えだった。

大体、日本人の大半にとって、高校レベルの世界史や日本史の知識が、教養として以外で、人生や生活の場で具体的に役立つことはあるのだろうか?僕のように仕事として活用する人以外は、話のネタになるかクイズ番組でマウントを取れるくらい。じゃあ、もっと役に立つことを伝えられないか。

そう思い、振り返りノートという取り組みをはじめた。

 

自分がその授業で学んだことを、授業の終わりの5分間に書いてもらうのだ。その振り返りにはコメントを書いた。

その取り組みの中で、特に歴史分野では、出来事の因果関係と具体的な内容を書くことを生徒に求めていった。「なんで」と「どうやって」を柱にし、授業の核となる問いかけ(なぜコロンブスアメリカ大陸に到達したのかなど)をプリントのサブタイトルとして掲載し、振り返りのヒントにした。

継続して積み重ねれば、生徒たちは因果関係を説明し、学んだ内容をより具体的に振り返りを書けるようになった。

また振り返りをして書くことを意識しているので、授業中で話を聞くときの集中力も上がっていった。

それに知識を記憶するだけではなく、学んだことを理解して、論理的に、具体的に説明する力は社会に出てからも役に立つはずだ。そう思い実践を続けてきた。

振り返りノート以外にも、ムービーづくりやレポート作成、生徒の模擬授業なんかにも取り組んだ。卒業した生徒からは、大変やったけど説明したら考える力がついてよかったと評価してもらっている。

 

大体、「なんでやろう?」「それどうなってるん?」と考えるのは楽しい。僕は「なんで」にぶつかると、すぐにググって確認して納得するのが好きだ。考えるのは、言葉を暗記するよりも面白い。歴史だけでなく、地理や公民でもそう。社会の制度ってなんでこうなってるのかを考えだすとまた面白い。まぁなかなか世の中単純ではないので、簡単な理由だけでは説明できないことも多いんだけども。

 

という訳で、社会科を教える僕の大事な武器、「なんで」と「どうやって」の紹介でした。

 

次は最近手に入れたもう一つの武器を紹介します。