メガネくんのブログ

何となく日々思ったことを書いていくブログです。教育や本の感想なんかも書いてます。表紙の画像は大体ネタです。

たかがアタッチメント、されどアタッチメント

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本の感想。

 

『入門 アタッチメント理論(遠藤利彦)』という本を読んだ。

 

日本語では「愛着」と翻訳されているが、アタッチメントそれ自体は「接触」という意味でしかない。それに母子や乳幼児期に限定されるものではない。

「愛着」という翻訳は母子による育児を連想してしまうので用語としては適当ではないように思う。それに日常的に耳にするようになった「愛着障がい」という言葉は、アタッチメントという視点から考えると過大評価されているのではないかと思ってしまう。

 

恐怖を呼び起こす場面に直面したり不安を感じたりした子どもが養育者に近づき、アタッチメントによって生存確率を上げると同時に安心を得ること、安心を得られることがその子の快復と次なる探究の源(安全基地)となることとされている。

このアタッチメントは、養育者と子の相互作用にやって4つのパターンに分類される。

1.安心型 (Secure attachment)
安心型のアタッチメント を形成した子どもは、自分が不安になった時には、いつでも養育者の元に行くことで気持ちを落ち着けてもらえると体験的に学習しています。養育者を「安全基地」と認識していると言えます。安全基地である養育者がいるからこそ、世界を探究することに積極的です。養育者の元での安全とそこから離れる探究とのバランスを柔軟にとることができます。

 

2.回避型 (Avoidant attachment)
回避型のアタッチメント形成した子どもは、基本的に自分の感情を抑えることで、心の安心を維持しようとします。ストレンジ・シチュエーションで母親が部屋から出て行った時も、また部屋に戻ってきた時も、子どもは無関心で反応しない、もしくは反応があってもわずかです。しかし、子どもは何も感じていないわけではなく、むしろ安心型の子どもよりも、母親との離別と再会を通じて心拍数が上昇し、ストレスホルモンであるコルチゾールのレベルが上昇していることが観察されています。自分の体感や感情を「感じない」ことにして無関心でいるのが回避型の特徴だと言えます。

 

3.アンビバレント型 (Ambivalent attachment)
アンビバレント型のアタッチメントを形成した子どもは、外界からの刺激や自分の感情に過剰に反応することで、養育者の関心を引き安心を得ようとします。回避型と正反対の戦略といえます。ストレンジ・シチュエーションでは、母親が同じ部屋にいるときでさえ、いつも母親の様子をうかがうあまり、環境を探究したりおもちゃで遊ぶことに集中できません。母親が部屋から退出すると強い不安を示しますが、母親が部屋に戻ってきた後も不安は消えることがありません。

 

4.無秩序型 (Disorganized attachment)
上述の安心型、不安-回避型、不安-両価型の3つのパターンは、アタッチメント行動にある一定の特徴、もしくは戦略が観察されます。つまり、安心型であれば、自分の幅広い感情を表現し、それによく反応する養育者と共にいることで安心を得るという特徴がありますし、回避型であれば、感情表現を抑制し、養育者からの反応を諦めて無関心を装うことで情緒的バランを保とうとします。両価型は、養育者とのやり取りの中で過剰な反応を示し続けることが安心を得ようとする戦略であると考えられます。

これに対して、無秩序型は、どのような方策を立てることもできなかったパターンと言えます。つまり、ストレンジ・シチュエーションでの親に対する子どもの態度が、矛盾していたり奇妙であったりして一貫性がないのです。例えば、部屋から退出した母親が再び部屋に戻ってきて子どもと再会する場面で、子どもは床に突っ伏したり、その場に凍り付いたり、放心状態になったり、といった反応を示します。

アタッチメントのパターン | 東京カウンセリングスペースHiRaKu | 新宿カウンセリング 東京都より)

 

4つのタイプの説明を読むと、過去に出会ってきた子たちの顔が浮かんでくる。

本には様々な知見が紹介されていたが、一番印象に残ったものが2つある。

  • 乳幼児期のアタッチメントが、児童期や青年期、あるいは恋愛関係、子育てなどの世代間に影響があるとは必ずしもいえず、それぞれによってタイプ間の変動が起こり得ること
  • 特に幼少期に不安型やアンビバレント型、無秩序型と判定され、家庭内でアタッチメントが十分に形成されていないと思われる子たちが、父母以外の施設先での養育者などとアタッチメントを掲載し、安定型に転じることがあること。

 

 

一昔前に比べて「愛着障がい」という言葉をよく耳にするようになった。

 人との関わり方の課題のある子はたくさんいる(逆に僕を含めて課題のない人なんているのだろうかという疑問は湧いてくるけれど)。その原因は確かにアタッチメントの課題があるのだろうなと思われる子はいる。が、必ずしも全員がアタッチメントが原因とは限らない。

ただそれらを