本の話。
『同志社大学神学部(佐藤 優)』という本を読んだ。
佐藤優さんの本を読んだのは多分世界史関連の本が最初だった。
彼の語るインテリジェンス的な視点から見た歴史観や政治観に大きな刺激を受けた。
何冊か読むにつれて佐藤さん本人が気になり、『国家の罠』や『外務省に次ぐ』、『憂国のラスプーチン』など世界史を離れたジャンルの本も読むようになった。
僕には特定の信仰がある訳ではない。
ただ大勢の日本人とよく似た日本教とでもいうような宗教観は持ち合わせている。
高校の時に倫理を専攻し、センター試験でも倫理で受験した。
少しばかり哲学的なことも齧った。
社会科教員なので多少の知識は持ち合わせている。
この『同志社大学神学部』という本である。
大学紛争後の雰囲気というのを僕は皮膚感覚では理解できない。
彼の語るキリスト教についての話も、多少世界史的な背景はわかるものの、ほとんどもっている知識はない。
ただチェコのプロテスタント神学者、ヨセフ・ルクル・フロマートカの『フィールドはこの世界なのである』という言葉が心に残った。
啓示…というほどのものではない。
輪廻転生や予定説といった思想的基盤のない僕にとって、世界は自由なものとも予定調和で決まりきったものとも断定はできない。
ただ、自分の歩んできた道のりを振り返り、これからのことを考えていたときに『フィールドはこの世界なのである』という言葉はとても腑に落ちたのだ。
きっと僕はこの世界の中で生身の身体を持った存在同士で関わることが好きなのだろう。
だから教員という道を歩んできたんだろうな。
じゃあこれから進んでいく中でも、この世界というフィールドを存分に活用して、体温を感じながら関わっていかないといけない。
いつも授業で伝えてる「授業で学んだことは授業が終わったらおしまいじゃないよ。お家や学校の生活で、次の学びの中で使っていくためのものなんだよ」という言葉はきっとそういうことなのだろう。
そんな自分のことを振り返らせてくれた言葉だった。