笑顔の話。
卒業式の練習をしているときに真剣な表情で練習に取り組んでいる子どもたち。
それはそれで素敵なんだけれど。
証書を受け取る係役で座り、緊張した面持ちで歩いてくる子どもたちに向けてとびきりの笑顔を送ってみる。
僕の顔を見て笑顔で答えてくれる子どもたち。
目と目が合えばお互いに笑みがこぼれる。
そんな場面を通して昔読んだ漫画を思い出した。
『不思議な少年(山下和美)』という漫画にある考古学者の話だ。
主人公…というか毎回トリックスター的な役割で登場するのが不思議な少年。過去現在未来の時空をこえ、場所を超え、自分自身の年齢や性別すらも自由自在に操り、ニンゲンを観察している。
この話で登場する幼い頃の考古学者は、厳格な軍人の父親の下で育つ。大好きな考古学の道へ進みたい、でも父親は絶対に許さない、だからどうしようもないと諦めていた。
そんな幼い頃の彼に不思議な少年は笑顔の力を授けるという。
「笑顔なんかあったって」と落ち込むのだが、いざ軍人の父親に対面し、笑顔で「考古学者になりたいと伝えるとあの父親が折れたのだ。
それからも子どものような無邪気な笑顔と共に彼は考古学者への道を進んでいく…というエピソードだ。
この話を読んだのは大学生の頃。
当時はそんなに気にも留めていなかったが、教員として働き始め、苦しむ経験を通して、いつの間にか笑顔と「ありがとう」が僕の大きな武器になった。
善意や前向きな言葉ばかりかけられる訳ではないこの仕事。
傷つける言葉を出したり、人のせいにするのは簡単だ。
でもそんな言葉や態度に傷ついてきた自分はそうはしたくない。
そんな思いでなるべくポップに笑に変え、自分自身も笑顔を意識してきた。
「メガネ先生ってトトロみたいですよね。おっきな口を開けていつも笑ってるのがいいですよね」そんな言葉をかけられたことがある。
正直とってもうれしかった。
笑顔には場の空気を柔らかくし、無理だと思う困難を「なんとかなるかも」と思わせてくれる力がある。
そして笑顔はどんどん広がっていく。
そんなすごい笑顔のパワー。
使わないともったいないよね!!
苦しいときこそ笑顔を忘れずに…まぁ忘れてしまうのだけれども。
これからも笑顔を大切にしたいなぁ。
目指せトレードマークがトトロの笑顔!