コントロール感についての話。
コントロール感、自己選択自己決定の話や親の指示や褒められることだけがモチベーションの子が失敗を親や教員を含めて周りのせいにするようになる実体験も含めてのはわかる気がします。
— メガネくん@盲学校からの発信 (@tattumiiii) 2020年3月9日
子どもは褒めて伸ばす。
とはよく言いますが、なぜ褒めて伸ばすのが効果的なのか。
褒められると嬉しいからとかではなく(それがまかり通るならなんでも嬉しいことやれよとなってしまいまう)、自己肯定感や自己効用感が高まるから。
自己効力感(じここうりょくかん)またはセルフ・エフィカシー(self-efficacy)とは、自分がある状況において必要な行動をうまく遂行できると、自分の可能性を認知していること。カナダ人心理学者アルバート・バンデューラが提唱した。自己効力や自己可能感などと訳されることもある。バンデューラの社会的認知理論の中核となる概念の1つであり、自己効力感が強いほど実際にその行動を遂行できる傾向にあるという。自己効力感を通して、人は自分の考えや、感情、行為をコントロールしている。
(Wikipediaより)
褒めるor認めるは、自己効力感を高める。大事なのはこの先で、「なぜヒトにとってこうも自己効力感が重要なのか?」でしょう。これは、“避けがたい失敗に直面しても目標と行動を維持する為に備わった心理的メカニズム”と考えられる。 https://t.co/Zbd7sWbZvq
— エイジ【年間3600本の教育論文読破】 (@edintblog) 2020年3月8日
じゃあなぜ自己効用感が大事なのかと考えてみる。
これは、“避けがたい失敗に直面しても目標と行動を維持する為に備わった心理的メカニズム”と考えられる。
ホモ・サピエンスは周囲の資源を改変して生存と生殖に結びつけることに卓越した能力を発揮するが(Ex:機会を作ったり)、やがて資源が枯渇すると競争という淘汰圧がかかる事になった。そう、資源のコントロール権をめぐって心がデザインされていったのだ。
だから我々は裁量権(コントロール感)が幸福の指標になっている。褒めるにしても認めるにしても、類する声かけは子どもに「私はこれをコントロール可能になった」とお墨付きを与える。
いつまで経ってもコントロール感が得られないと、鬱や行動抑制の可能性が増す(Seligman,1991)。褒めらすぎると、大人に褒めてもらうと頑張るが、失敗したら外的要因になすりつけて(あいつのせいだ!)、コントロール感を死守しようという反応が見られる。
褒めようが、認めようがヒトが求めているのはコントロール感で、実力が伴わないのに褒めても効果は期待できない(むしろ自信だけが肥大化してしまう)。
あくまで、適切な指導・努力(過程)がもたらした成果に対して褒める、のが自然なのではないか。
このような意見を聞くと納得できる部分が多い。
自閉的な傾向のある子だけでなく、ヒトは見通しが持てないと不安になる。
自分で見通しを持っている感覚になると、実際の世の中ではスケジュール通りにいかないことの方が多いのだが、安心できる。
昔、放課後児童デイでバイトしていたときの夏のキャンプで初めていく施設に30分ほど駅から歩いたときには、道順もわからず、後どのくらいで着くのかもわからず、不安に思う子どもたち以上にお店がイライラしていた。
僕たちは世の中の流れは決まっているように感じているし、ある程度自分でコントロールできると思い込んでいる。だからこそ日々安定して過ごすことができるのだろう。
そして今回のコロナのように、あるいは東日本大震災の原発事故のように、そのコントロールが崩れたとき、自分の見通しや常識がくずれたときに強いストレスを受けるのだろう。
そしてコントロールできない責任を他者に押し付けてしまうのかもしれない。
教育の現場でも似たようなことを感じる。
家庭や学校で親や教員が子どもをコントロールしている場合(もしかしたら親や教員は子どもを思うようにコントロールできること自体が快楽になっているのかもしれない)、その子ども自体は自分をコントロールできない。
でも肥大した自己意識からは逃れられず、自分で自分を否定することもできなくなり、失敗した原因を周囲の人や環境に求めてしまう。
子どもをコントロールしようとする場合、叱るという罰と、褒めるたりご褒美を与えるという報酬のどちらかが多用されることが多い。
その罰が過剰な場合は子ども萎縮させる。そして褒めることが過剰な場合は自分の実力を過信しすぎてしまう。
結果として子どもは叱られることへの恐怖心や失敗して自分の実力が露呈するのを嫌がり、失敗すること自体を恐れて新しいことにチャレンジしなくなる。また失敗したときには原因を他人や環境のせいにすることで自分を保とうとする。
以上のプロセスは僕の想像も含まれているが、厳しすぎるあるいは甘やかしすぎる環境で育った子は、好きなものがない、新しいことにチャレンジしない、失敗を怖がる、失敗した原因を周りに求める傾向が多いと感じている。
そういう意味で、子どもが自分のことを自己選択・自己決定して、失敗も含めた結果を自分で受け止めること、そうして自分で考えて自分でできることが少しずつ増えていくことはコントロール感を拡大していくことに繋がるんじゃないかな。
また発達障がいの子たちへの支援として、視覚支援など見通しを持たせる構造化も本人のコントロール感に繋がるんじゃないかな。
そんな感じで。