メガネくんのブログ

何となく日々思ったことを書いていくブログです。教育や本の感想なんかも書いてます。表紙の画像は大体ネタです。

昔の本は面白い『諸國盲人傳說集』

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本の話。

 

大先輩から借りた『諸國盲人傳說集(横田全治)』という本を読んだ。

諸國盲人伝説集 | 国立特別支援教育総合研究所 OPAC

昭和28年発行。

うちの父親より年上だ。

いろんな盲人についてのエピソードをまとめた本だ。

 

読んでいると笑ったり驚かされたりはっとさせられるエピソードがたくさん。

 

眼の病を防ぐと言う湧水を調べてみるとコカインが含まれているという医者の説明(そんなアホな…中毒だらけになるで…)。

筆者がある寺院に奉納されている盲人の杖を案内の小僧をやり過ごして触って確かめた逸話(SNSどころか実名の著書で掲載するなんて…)。

鑑真和尚が土を舐めて、ここは薬草の栽培に適している(土が甘かったそう)と言った逸話(和尚はいつも土を舐めていたのか…)。

百日詣した結果、仏様から眼の薬の入った袋といくら救っても白米が出てくる袋を手に入れる(ザ・4次元ポケット、人が空想できる全ての出来事は起こり得る現実である的な感じなのか…)。

観音様のお告げで高台から飛び降りて着地すると目玉がポロリと落ちて、それをあわててはめ込むと反対に入れると腹の中の五臓六腑がよくみえて名医になったという話(ブラックジャックもびっくりだ)。

蹴鞠で鞠に鈴をつける話はブラインドサッカーを思い起こす(先見の明とはこのこと)。

各地の座頭と名のつく、険しい崖のある地名にホーム柵の設置を連想するもの、大半は盲官のために大量の銭を持って上京する盲人を強盗した後の供養のためと知って怖さを感じる(いつの世も恐ろしいのは人ですね…)。

野原の中で一軒の宿を借りるも、居間しかなく畳のへりもない、どうにも不思議であっちこっち探ってみると貉の大きな睾丸だった(どんだけでかいねん!?)

 

などなど時代の方おおらかさや人の想像力の素晴らしさを感じました。過去の日本人が、努力や個人の才覚よりも神仏の奇跡の方を頼る心理も面白い。

 

後書きに書かれていた、戦争が終わり、新しい世の中にふさわしい道徳律が必要になる。

この本に掲載した視覚障がい者を馬鹿にしたり嘲笑ったり騙したりというような関わり方ではなく、正しい道徳律に基づいた関わり方が求められるという旨のことが書かれていて、ハッとさせられる。

60年以上前の本である。

でも今の世の中は、障がいに対する無知や偏見を払拭できているのだろうか。

理解が進んでいないとは言わない、でもまだまだだよなぁと考えさせられた。