今の世の中は評価や格付けが大好きで、教員の世界でも御多分に漏れず、人事評価制度がある。
僕の勤務する自治体では、自分の目標と評価を診断し、その結果をボーナスに反映する制度がある。
この評価というのは曲者で、数値やランクが出てくるとあたかもそれが絶対的なものに思えてくるのだけれども、人の能力を完全に客観的に評価するということは今の段階ではできない。
学校のテストにしたって、入学試験や資格試験にしたって、その人の力の限られた一部を、限られた尺度を使って測定しているだけで、当たり前のことだけれども問題が変われば点数はかわる。
絶対的なものではないのだ。
話を元に戻して、人事評価について。
僕自身は自分の強みが活かされたり、力を注いでいるのは授業をはじめとする子どもとの関わりだと思っている。
でもこの人事評価では、授業(しっかり見てもらっているかどうかわからない)よりも、校務分掌(授業以外の仕事、行事の係や、役職の仕事、教務・進路・研究・情報教育・生活指導なんかがある)の方が評価が高いのだ。
過去にはそれに納得できず、なんなら評価を取り下げてくれと申し出たこともあった。
人間評価されて嬉しいのは、頑張って努力していることや好きで好きでたまらないことであるだろう。
でも、その人の凄いところは、本人が当たり前にやっているように思えて、でも周りからは凄いと思われているところだ。本人が力まず意識せずにできていることがその人の長所だという考え方もある。
なにが言いたいのかというと、
A:本人ができること・得意なこと・評価されることと【できる】
B:本人ができないこと・苦手なこと・評価されないこと(まだ認知されてないだけかもしれないけれど)【できない】
C:本人ができると思っていること・好きなこと・やりたいこと【好き】
D:本人ができないと思っていること・嫌いなこと・やりたくないこと【嫌いな】
の4つの関係を考えると、
できる=好きや、できない=嫌いは必ず成り立つわけじゃなくて、できない=好きや、できる=嫌いも成り立つ。
嫌いで自信はないけれど周りから評価されることや、自分には自信があるけれど実はできていない苦手なことなんていうのもある。
だから僕たちはできる・できないと好き・嫌いから自分がなにを選ぶのかを考えなければならない。
学校の進路相談なんかは、わりかしできる・できないの視点での評価を教えてくれる。
やりたいことに挑戦して失敗するより、得意なことで結果を出して安定することをすすめられがちだ(失敗させないようにとか後悔しないようにという立場でアドバイスしがちだけれど、あくまでも、決めるのは本人だ)
対して自分の心の中は自分の好き・嫌いの視点に意識が行きがち。
やりたいことを追い求める傾向があるのかも。
将来のことなんて深く考えないかもしれない、もしかしたら、その選択でひどい後悔をするかもしれない。
「どうしたらいいか」なんて一概に決まっている訳じゃなくて、いろんな視点や立場がある中で自分がどれを選ぶのかというだけなんだと思う。
自分の人生を生きるのは自分自身なんだから。
ただ、できる→好きやできない→嫌いになりがちなので、できる・できないと好き・嫌いはこんがらがってしまうことが多い。
できる・できないと、好き・嫌いは別の話だ。
自分が悩んだり、他人の相談を受けたりアドバイスするときには、そこの区別を整理してから考えると選ぶべきことがはっきりするのでお勧めです。
好きなことで生きるのも
好きなことを諦めるのも
嫌いなことから逃げるのも
嫌いなことに立ち向かうのも
できることで生きるのも
できることに囚われないのも
できないことを頑張るのも
できないことを受け入れるのも
どれも正解はなくて、あるのは本人の選択
さぁなにを選びましょうか