メガネくんのブログ

何となく日々思ったことを書いていくブログです。教育や本の感想なんかも書いてます。表紙の画像は大体ネタです。

介護等体験実習について「セカイヲヒロゲルタメノタネをまく」

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今年も介護等体験実習の学生さんの前で講義する機会をいただけた。‬



‪仕事が増える、意味ないなどの否定的な声もあるのだけれど、僕は将来たくさんの子どもや大人と関わる方に障がいや支援教育のことを発信できるありがたい機会だと思っている。

いやまぁ学生が寝るだなどうだのが問題になって確かに寝るのはあかんのだけれども、学生に「なぜ支援学校に来て、なにを学ぶのか、どこを意識するのか」を伝えて問題意識を持ってもらうと、態度も変わると思うのです…。

 

‪当たり前かもしれないけれど、大半の学生にとって障がいは遠い世界の話で、この福祉や支援教育の業界では常識になっている障がい者権利条約や障がい者差別解消法なんてもちろん知らない。‬

障がいについて知っていることはあるかもしれないけれど、正直、縁のない世界の話だと無意識に感じている学生も多いだろう。


‪でも、インクルーシブ教育も広がり、障がいのある人も高齢者も外国出身の人もLGBTの人もいろんな人がいて当たり前の共生社会に僕たちは生きている‬。

その動きはこれからどんどん加速していくだろう。

‪だから街中で偶然見かけるだけではなくて、生徒として、同僚として、取引先の相手とし、顧客として、障がいのある方と関わる可能性は大いにある。

障がいは遠い世界の話ではないかもしれない。

それに意識していなくても障がいと関わるかもしれない。

例えば、理工学系でホームページをデザインするなら、視覚障がいをはじめ多様な人々にとってアクセシブルなデザインにしていないと、今後は問題になる可能性もある。現実にアメリカではホームページがアクセシブルでないと訴訟が起きている。

東京都の条例では、都内に本社のある民間企業にも合理的配慮の提供が義務付けられている。

 

‪障がいは社会がつくるというなら、その社会をつくっているのは人で、その人々に障がいのことを知ってもらい、必要な配慮をするという考え方が広まれば、社会は変わり制度や常識も変わっていくはずだ。

障がいのある人がいる前提で、いろいろな制度や企画、製品を考えれば、様々な不便や障がいは解消されるかもしれない。

きっと今は社会が変わっていく過渡期なのだろう。

 

‪講義では視覚障がいのことを中心に体験してもらったり、話したりした。シミュレーションレンズを使って見えない子どもの気持ちを体感してもらった。‬

白内障で視界が白く濁ったレンズ、視野の狭いレンズ、視野がまだら状になったレンズ、強度近視のレンズ、視野の真ん中が見えないレンズ、片方が見えないレンズなどをつけて、名前を書いたり、図形の線をなぞったり、絵を写したり、図形をハサミで切り取ったり、文章を読んだりをしながら、「なんでできないの!」「ちゃんと見てるの!?」「しっかりしなさい!」「真面目にやってる?」などと声をかけて、弱視の見え方だけでなく、しんどい立場にある弱視児の気持ちも体験してもらった。


‪でも、相手の立場に立つことは別に視覚障がいだけに限らない。‬

 

‪学校で、会社で、家庭で「なぜできないのか」「ちゃんとしなさい」と言うのではなく、「なぜできないのかを分析し、仮説を立てて検証すること。
‪漢字が書けないのは、見えないから、見たものを認知する力が弱いからか、不器用だからか、記憶の問題か、意欲の問題か、課題の難易度の問題なのか‬。

僕たちの仕事は‪、そのアセスメントなしに「その人の努力不足」だけの問題にしたり叱ったり努力を強制するんじゃなくて(それはプロの仕事ではないし、その辺を歩いている人を連れてきてもできてしまう)、しっかり考えて、無理をさせすぎず、手を出しすぎず、その子の力が伸びていくための具体的な課題や難易度、手順を提示することだと思うこと。
‪そして意外と身近にある障がいに気づいたときにどうするのか考えてみてもらえるとありがたい。

‪と言うような話をさせてもらうと、皆さん顔をあげてこちらを向きながら聞いてくれていた。‬
‪ありがたいなぁ。

 

障がいイコール遠い世界の関係ない話ではなく、自分の身の回りにある世界の話だと思うよう、彼らの世界が変わってくれたらいいなぁ。

普段教えている子どもだけでなく、今回関わった学生さんたちにも、まかせてもらった種が芽吹いて広がって欲しいなぁ。

僕たちの仕事は種をまく仕事だと‬思うから。

「種を植える仕事」という言葉について - メガネくんのブログ