メガネくんのブログ

何となく日々思ったことを書いていくブログです。教育や本の感想なんかも書いてます。表紙の画像は大体ネタです。

僕たちは子どもにどうなってほしいのか『中学生になったら』

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『中学生になったら(宮下聡)』を読んで思ったこと。

中学生になったら (岩波ジュニア新書)

中学生になったら (岩波ジュニア新書)

 

 

中学生はもちろん、これから中学生になる人、中学生の親、中学校の先生、そして中学校の先生になろうとしている人など、中学生にかかわっている全ての人にむけた本。

 

この11年の教員生活の中で気づいたこと、大切にしようと思っていることを上手いこと表現してくれた本。

と同時に、これからの自分を支えてくれるもののひとつになる本だと思う。

 

 

いろんなメッセージがあった。

鉄人28号ではなく、鉄腕アトムを目指して!」

という言葉は、自分の頭で悩んで考えて選択して行動する人間になるということ、そして2つの自由、「〜からの自由(今)」を求めて大人や社会と向き合い、「〜への自由(未来)」にむかうために自分と向き合ってくださいということが込められたメッセージだ。

 

ルソーのエミールにあるように「生きるために生まれる」という思春期に、それまでのように与えられたり指示されたまま過ごすのではなく、自らの人生を自分で歩いていくための一歩を踏み出してほしいという想いがある。

 

この「自分で考えて行動することの大切さ」は、勉強や部活、塾や先生の活用、家での家事やお金も含めた生活、そして人生の選択など、この本のどの内容でも繰り返されている。

 

自分で考えて行動するために、いろんな選択肢や考え方も紹介されている。

各教科の面白さ、学んだことはどんなことでもすべて「自分」になること、計画を立てて実行する方法、何のために勉強するのか、自分にあったやり方を見つけること、わからないことをわからないと伝える大切さ、何のために働くのか、高校を選びまた選ばれるために、いじめや不登校、先生や部活が合わないときに、などなど。どれも小噺があり、いろんなエピソードや考え方のフレームの紹介がある。

でも、どの場面でも、「こうした方がいいと思いますよ。」とは書かれていても、「こうしなさい。」とは書かれてはいない。

 

きっと子どもたちには、自分で考えて行動できる人間になってほしいと思うからだろう。

 

 

人間は自分が納得し、変わろうと思わない限り、その行動は変わらない。

思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。

言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。

行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。

習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。

性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。

これはマザー・テレサの言葉だそうだが、この言葉をつくっているのは僕たちの毎日の思考だ。

思考を変えるには納得が必要なのだ。

頭ごなしに叱りつけたり、強制すればいいわけではない。

外側だけ良くしても意味がない。

教員や保護者がやらせても意味がない。

本人がどう考えて行動するかが鍵なのだ。

 

そんな風に考えながら本を読むと、この本を読んだ子ども本人が納得し、行動が変わる、自分を変えられるきっかけの一つになればいいなと思われているのかななんて考えさせられる。

以前のブログ「種を植える仕事」という言葉について - メガネくんのブログで書いたように、促成栽培で無理矢理やらせてみてもそれは本当の本人の力にはならないのだ。

 

 

子どもに関わる僕たちは、考えないといけない。

どんな子どもになってほしいのか。

目指すのは、リモコンで操られて動く鉄人28号なのか、それとも自立して自分で考えて行動する鉄腕アトムなのか。

自分で考えて行動してほしいと思うのならば、子どもが「やらないこと、止めること、諦めること、拒否すること」も認めないといけない。

子どもは僕たちの操り人形ではない。

大体、無理矢理強制されたらやりたいと思うのだろうか。

僕なら思わない。

それなら、子どもが楽しんだら興味のあることを一緒に体験する方がよっぽどいい。

そんな楽しむためのコツも紹介されていた。

「北風と太陽」ってすごく示唆に富んだ寓話だなぁと思う。

でも作者は、策士の太陽のように見えて、自然体のままそうあるんだろう。

そんな風になりたいなぁ。