目が見えないということを一時的に体験することはできる。盲学校では新しく着任した教職員へアイマスクを付けた手引きや体験を行うことは珍しくない。
中学校や高校で障がい理解のためにアイマスクをつける体験なんかもある。障がいに対して無関心の状態から知る状態に移るチャンスだけど、多くの場合「見えないのは大変だ」「視覚障がいの人はかわいそう」だから障がい者を助けてあげようと言った一方的な助ける人と助けられる人という立場の考えに固定されてしまうことが多い。
ダイアログ・イン・ザ・ダークについての本を読んだ。
暗闇から世界が変わる ダイアログ・イン・ザ・ダーク・ジャパンの挑戦 (講談社現代新書)
- 作者: 志村真介
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2015/03/19
- メディア: 新書
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正真正銘の暗闇を体験するワークショップイベント。参加者たちは、まずそれまでの目が見える助ける自分と、目が見えられない助けられる視覚障がい者という立場がもう成立しないことを知る。それまでの立場が逆転する。そこからお互いさまの対等な関係を築いていき、お互いにありがとうと言って、それまでとは異なる考えで、家庭や職場、学校など自分のフィールドに帰っていく。
僕は視覚障がいスポーツのフロアバレーボールやグランドソフトボールで全盲プレイヤーとしてアイシェードで目を覆い、暗闇の中でプレイする。僕はこれがなかなか気に入っている。痛いこともあるけど(骨折も二回した笑)、特にフロアバレーボールは自分にピタッとはまったのだ。
ゲーム中は、ボールの転がる音と後衛の指示だけで動く。僕は前衛プレイヤーのなかでは決して耳のいい方ではない。全員ではないが、視覚障がい者には耳のいい人が多い。僕の聴きとれないくらいの小さなボールの転がりも聴き分け、相手のアタックに対してブロックしに動く。僕は正直フロアバレーボールで耳がいい視覚障がい者の前衛プレイヤーに対してずるいと思う。彼らは普段の生活そのものが音を聞く練習になっている。ずるい。僕はそこまで耳が良くない。
だから、僕は見えることを全力で利用する。練習中やゲームでベンチにいるときに、コートの感覚や自分のアタックしたボールのコースの確認、自分のブロック態勢の修正を目で見てする。相手の動きやアタックのタイミング、グランドソフトボールのときはピッチャーの投球のリズムを見ながら聴いて覚える。音や指示を聴きながら直感的にはわからないので、頭の中でお互いのチームの声を聞いて想像する。そうしないと上手い視覚障がい者の相手にはなれない。相手も見えていて動作を修正する僕のことをずるいと思っているかもしれない。お互い様だ。
そんなことを常日頃から思っているので、ダイアログ・イン・ザ・ダークについての本、「暗闇から世界が変わる ダイアログ・イン・ザ・ダーク・ジャパンの挑戦」の内容はとてもしっくりきた。同じチームの中で、前衛のチームメイトはお互いさまだ。よく聞こえることだって見えることだってお互いにずるいと思っている。そんな感覚がいろんな人に伝わるといいんだけど。