メガネくんのブログ

何となく日々思ったことを書いていくブログです。教育や本の感想なんかも書いてます。表紙の画像は大体ネタです。

うちの娘のこども園の話「地味だけどすごい」

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先日、うちの娘が通う認定こども園の保護者会に参加した。自分も職業柄、娘の発達を気にしたり、「発達段階的に次の課題はこれ!」と先々進めすぎたりして反省する。そんな教員、保育士あるあるに話が咲いたのだが、そこで劇発表の話になった。

 

うちのこども園の発表会ははっきりいって地味だ。劇にはきらびやかな衣装もなければ、豪華な背景もないし、気の利いたBGMもない笑。テーマも昔ながらの絵本からのものが多く、子どもたちもけん玉やこま回し、竹馬など地味なものを披露する。

でも、きちんと発達の段階に照らして発表の内容が考えてある。

例えば0歳、1歳の乳児は生活再現遊びの発表。普段の散歩や絵本の読み聞かせ、おやつ作り(これがせんべいとまた渋い笑)みたいな内容。でも去年の0歳児クラスから1歳児クラスで劇の内容も、うちの子も進化していっているのだ。

2歳児クラスは年間を通して生き物(青虫→ちょうちょ、ザリガニなど)を飼うことで、その生き物についての興味をふくらまし、その生き物になりきって劇をする。

3歳児クラス以上の幼児になるとだんだん本格的な劇に。相手の気持ちを考えられる段階、5歳児クラスになると台詞もただ丸暗記するんじゃなくて、みんなで本を読み込んで、「どんな気持ちだったのかな?」と登場人物の心情を想像し、登場人物になりきって、セリフを考えていく。すごい。

そんな5歳児はみんなの憧れで、彼らの練習や発表を見ることで、4歳児以下は自分たちのモデルにしていく。

 

そう考えてみるとよく幼稚園である(僕自身は保育園育ちで、子どもを幼稚園に通わせてもいないので、あくまで伝え聞いた話からのイメージです)きらびやかな衣装を着た劇は、はたして誰のための劇なのかなと思ってしまう。確かに衣装や音楽が派手であれば見栄えはいいし雰囲気もぐっと出る。親からの評価に繋がるかもしれない。でもそれが、「指示通りきちんと動けていること」だけが評価されているのであれば、どちらがその先の子どもたちの本当の力になるのかなと思ってしまう。「できているかどうか」だけに注目してしまうと、何か大事なものを見落としてしまうのではないか。

 

他にも文字学習や計算、英語なんかを先取りで学習している幼稚園や保育園、こども園は多い。けれども、前倒しで学んでいるだけで、幼児期に大事なごっこ遊びやおもちゃ遊びなんかをする時間が削られているのなら、後でしっぺ返しがくるんじゃないかと心配になる。

ごっこ遊びは想像力に繋がるし、それは小学校に上がってから図形の理解に繋がる。よく9歳の壁、10歳の壁と言われる抽象的な概念の獲得にもこの想像する力は欠かせない。文字を先取りして、その先でつまづくなら本末転倒だ。

けん玉やこま回し、竹馬は、見る力(目と手の協応)やバランス感覚に繋がる。最近では、ゲームの画面を見る時間が増えたので、目のピントを調節したり眼球を動かしたり、動きながら見るのが苦手な子も増えていると聞く(そこでビジョントレーニングのニーズが増えているのかもしれない)。バランス感覚は姿勢に繋がり、実は勉強の効率や集中力にも繋がる。

他にもハイハイは我慢する力に繋がるので早くに歩かせるべきでないという話もある(大きくなってからは鉄棒にぶら下がることが我慢する力の獲得への代替手段となるそう)。

良かれと思って先取りすることには、実は、デメリットもある(もちろん小学校に自信を持って入学できるメリットもある)。

 

うちのこども園は、その辺りのこともきちんと考えていて、勉強の先取りは一切しない。やりたいなら家庭でどうぞのスタイル。でも、子ども同士の関わりの中で、例えばみかんを分け合うときなどのやりとりで数の概念を学んでいく。文字の「3」だけを学ぶのではなく、「3」という文字と「さん」という言葉・音と「具体物としてのみかんの一房が3つ」のイメージ全てを体験を通してリンクさせていく。この3つのリンクは数の概念の本質でもある。

 

という訳で、地味だけどすごい、うちのこども園の紹介でした。このすごさが他の保護者さんたちにも伝わればいいんだけどなぁ。

そしてそういう子どもの大事な時期に関わる保育士さんの専門性の必要さが広がれば、もうちょっと給料が上がっていかないのかなぁ。

 

うちの娘は本当にこども園に楽しんで登園しています。そんな環境と関係づくりをしてくれている保育士の先生方に感謝。これからもどうぞよろしくお願いします。